叙事詩は古代から続く普遍的な芸術表現です。語り部たちは不朽の名声を勝ち得た英雄たちの壮大な人生や苦しみを語り継いできました。本書では西洋の主な叙事詩を、アジア、アフリカ、近東の英雄詩と比較することで、叙事詩文学の共通点、叙事詩人の役割、他の物語形式との違いなどを浮き彫りにします。その中で、共同体、犠牲、死など、人間にとっての重要な側面に特別な力と緊迫感で向き合っているのが叙事詩であると指摘します。 ... 続きを読む

軍事政権、一党独裁政権、個人主義政権など、権威主義政権の世界を概観します。権威主義に対する理解の変遷や、今日においては権威主義体制の多くが選挙を実施しているという不思議な事実にも目を向けます。さらに、民主主義の崩壊、権威主義体制が直面する課題、国際環境の変化や民主的野党の決定が権威主義体制に権力の放棄をどのように促すかといった、いわば権威主義体制のライフサイクルも検証します。天然資源の富、暴力革命 ... 続きを読む

J・R・R・トールキン（1892-1973年）はその作品を通して神話、民話、おとぎ話への関心を育み、今日「ファンタジー文学」と呼ばれる領域を切り開いて今日の大衆文化に多大な影響を与えた英国の作家で文献学者です。『指輪物語』『ホビットの冒険』は神話、民話、おとぎ話への扉を開き、今日ファンタジー文学と呼ばれる領域を切り開き、大衆文化に多大な影響を与えました。本書は学術的な著者や没後に出版された作品を含 ... 続きを読む

内戦とは大規模な政治的暴力の最も一般的な形です。資源から政治まで、その原因は多岐にわたります。内戦の背景を把握するには、その国の政治的暴力の歴史と、誰が責任を負うべきかに関する深い理解が不可欠です。内戦に関する理論は国際関係論や比較政治学領域から発展し、統計分析を行うために何百もの内戦が目録化・データベース化されています。どのような条件の下で内戦が発生し、どのように戦闘が展開・終結するのかについて ... 続きを読む

20世紀を代表する米国人作家のシルヴィア・プラス（1932-1963年）を読み解きます。30歳でその短い生涯に自ら終止符を打ったプラスは、現代詩の方向性を変え、フェミニズムの第二の波を支える作品群を遺しました。それらは今日に至るまで多くの読者を惹きつけ、とりわけ自身に重なる感情や経験を見出した女性にとって意義深いものです。詩集『巨像』『アリエル』、小説『ベル・ジャー』、短編『ジョニー・パニックと夢 ... 続きを読む

誰が公職に就いて統治する権力を持つべきかを決定する選挙は、市民と、市民に代わって意思決定・統制する人を結び付けるもので、民主主義国家のみならず、非民主主義体制においても極めて重要なイベントです。本書は、選挙制度の種類、行政への影響、有権者の参加、代表制、政府の安定性、改革への取り組みなど、選挙の重要な側面を検証します。また、一人区複数制、比例制、混合制など多様な選挙制度や、これらの選挙制度における ... 続きを読む

クリックひとつから、通信、購買、医療機関や役所でのやりとりまで、私たちのあらゆる行動は記録、識別、追尾、追跡されています。それはデジタルに依存した今日の社会の仕組みであり、社会、政治、ビジネスのあらゆる場面で不可欠となっています。監視は本質的に善でも悪でもない中立的なものですが、データの扱いやそこから導き出される結果はすべての人に関わる重大な問題で、倫理的・政治的議論が欠かせません。監視がいかに人 ... 続きを読む

フランスが誇る文豪、マルセル・プルースト（1871-1922年）畢生の傑作『失われた時を求めて』を取り上げます。作品中の、記憶、社会、芸術、同性愛、知識、自己理解、自己形成、無意識などの主題の扱いを通し、この超大作をひとつの探求の軌跡として解説します。世界における居場所、他者との真のつながり、芸術が持つ人を変える力、世界・周囲・自分自身に対する理解、性的指向が人とのつながりや自己同一性に与える影響 ... 続きを読む

宗教的信念と結びつけられ、しばしば多様な宗教に分類される信仰について考察します。本書の著者で宗教哲学者のロジャー・トリッグは、すべての信仰には理性が必要であると説き、現代の議論を、特にキリスト教という文脈の中で歴史的な視点に置いて論じています。信仰には行動に対するコミットメントも含まれ、それはすべての社会生活にとって重要なことであると述べています。一般的に、宗教とは人々の生活にとって極めて重要であ ... 続きを読む

「ジェンダー」の起源、歩み、需要、捉え直し、摩擦について概括します。まず、記述的カテゴリ、歴史的分析カテゴリとしてのジェンダーの定義を確認します。次に、政治的主体としての役割、権力、文化、経済、アイデンティティへの影響を検証し、ジェンダー分析が奴隷制や資本主義、移民問題、帝国主義の解釈をどのように変えたのかを探ります。また、20世紀後半以降の思想潮流の文脈で、社会科学分野の研究・学識に与えた影響や ... 続きを読む