「無神論者」と聞いてどのような人を思い浮かべますか。意味も目的も価値もない人生を送る、道徳心を持たない悲観主義者？ 本書は無神論に対する偏った考え方を払拭し、宗教的な信仰心を持たずともいかに有益で意義深い道徳的な人生を送ることができることを明らかにする一冊です。新版は西洋で特定の信仰を持たない人が増加するなか、リチャード・ドーキンズやサム・ハリスらの著述が牽引する「新無神論」運動についての新章を追 ... 続きを読む

政治思想史を政治哲学・政治学の中の一分野に位置づけ、この分野が扱うテーマや疑問をラインハルト・コゼレック、レオ・シュトラウス、ミッシェル・フーコー、いわゆるケンブリッジ学派と呼ばれるクェンティン・スキナーやJ・G・A・ポーコックといった主な研究者たちの議論を通して紹介します。そして政治の歴史、理論、実践の現在の関係性を評価し、それが今日の政治とどのように関わりあっているかを分析します。 &nbs ... 続きを読む

デイヴィッド・ヒューム（1711-76年）はイギリス経験論を完成させた偉大な哲学者です。啓蒙時代に既に偏狭さ、派閥主義、帝国主義が平和と進歩にとって脅威であることを見抜いていたヒュームの思想は不安定で先の見通せない現代を生きる私たちにも強く響きます。本書はヒュームが取り組んだ「人間の本性」「道徳」「政治」「宗教」のテーマに等しく目を向け、その生涯や歴史的文脈、そして思想の主意をバランスよく概説しま ... 続きを読む

1947年に英領インド帝国のムスリムたちの祖国として建国された近代国家パキスタン。異なる言語や民族、文化的アイデンティティが複雑に入り組むこの国を理解するには、インダス河沿岸の定住者たちに刻まれた4000年の歴史を避けて通ることはできません。そうした歴史的背景や政治的な側面のみならず、宗教と社会、世界有数の兵力、日常生活、大衆文化、言語と文学、そして対外政策まで広く見渡す一冊です。そしてこの国が抱 ... 続きを読む

ビッグバン直後の銀河の誕生から、主に赤色矮星から成る薄く暗い銀河が広がる何兆年も先の宇宙まで、最新の学識を踏まえ概説する一冊です。観測技術の発達が可能になった惑星系形成の瞬間の観測で得られた洞察、それを裏付ける理論面の進展、死にゆく恒星の振る舞いがいかに惑星の誕生を促し岩石惑星の形成を始めるのか。30年近く前まで確認されていなかった系外惑星とその気候を決定づける要因や、惑星系の寿命を決定づけるもの ... 続きを読む

時間とは一体何か。熱力学第二法則から複雑系や生命の起源まで、時間に関わる現在の物理的理解の方向性について案内する一冊。ニュートンに始まり3次元の「空間」と1次元の「時間」が4次元の「時空」というアインシュタインの概念を経て今日に至るまでの物理理論の発展を振り返ります。時間観が相対性理論により一変させられたことで生じた論争や哲学的戸惑いにも言及するほか、その溝を埋めてくれる今日の統計力学、認知科学、 ... 続きを読む

心と物質の関係については、誰もが一度は思いをめぐらしたことがあると思われます。これを扱う哲学の一分科が心の哲学です。この分野にとって最も重要かつ興味深い「心身問題」や「二元論」はもとより、人以外の動物、異星人、機械などの意識を定義する上での問題や、「物理主義」「志向性」といった厄介なトピックも取り上げ概説します。さらに、心の哲学が扱う問題は心理学や神経科学、経済、進化生物学、言語学にも踏み込むもの ... 続きを読む

今日の世の中で増加の一途を辿る冒涜行為。宗教や人種的マイノリティーの認知度向上、新たなメディアの発展、監視社会化の進展、前時代的な冒涜罪の遺産など、その要因を検討します。有名な事例のほか、図らずも冒涜的になった風刺画、冒涜と性と避妊の関係性なども紹介し、人々の記憶に残るものと忘れ去られるものがある理由を考えます。人知を超えた絶対的存在であるはずの神が世俗世界に傷つけられ得るとの前提を置いている点で ... 続きを読む

聖母マリアに関わる教義・崇敬、民間の伝承、聖画像が最も活発に発展したキリスト教の起源から宗教改革までを核に、カトリックや正教会をはじめとするキリスト教の宗派、そしてイスラームにおける見解を概説します。過去から現在に至るまでのキリスト教意識、そして今日の世俗的な世界におけるいくつかの誤解や思い込みについて、美術史、考古学、ジェンダー研究から教理史まで学際的な視点で考察を加えます。今日の大衆文化におけ ... 続きを読む

作品の短さだけが「短編小説」の特色ではありません。このジャンルの発展と密接な関係があった米・英の新聞・雑誌といった発表媒体の発達をはじめ、エンターテイメント的な色彩が強かった初期から、写実主義、ポストモダンなどの作家たちによって国際的な発展を遂げた20世紀以降までを概括します。短編小説の普遍的な要素のほか、ストーリーに多様性を与えるテクニックについて、A・カーター、A・チェーホフ、J・ボールドウィ ... 続きを読む